アメリカン トラディショナル 【American traditional】
アメリカントラディショナル、略してアメトラともいう。本来はアメリカ東部で培われた伝統的なスタイルの総称とされているが、捉えられている時代が100年以上に渡るので、解釈が多岐に渡っている。
日本では1960年頃にアイビールックこそがアメリカの象徴的スタイルとして、メンズクラブ誌やVAN石津謙介氏をはじめ服飾評論家によって、ネイビーブレザー、ボタンダウンシャツ、レジメンタルタイ、レタードカーディガンやスタジャンのイメージでアメリカン・トラディショナルが偏ってしまったと言われている。
「アメリカントラディショナル」とは代表として挙げられる「Brooks Brothers」「J.PRESS」「ポール・スチュアート」「ラルフローレン」の4つのブランドをメインとして、特定のディテールや特定のメーカーに囚われることなく、各時代を象徴するアメリカのスタイルとしての意味合いと捉えるのが正しいのではないかと思います。
アイビー・リーグ8校
ダートマス大学・ハーバード大学・ブラウン大学・コーネル大学・イエール大学・コロンビア大学・プリンストン大学・ペンシルベニア大学の、アメリカ合衆国北東部に位置する8つの私立大学の総称。米国の政財界・学界・法曹界をリードする卒業生を数多く輩出し、「裕福なエリート私立大学グループ」として認識されている。
特に、これら8校で構成するカレッジスポーツ連盟の名称として用いられたため、アイビー・リーグの名称が一般的となった。アイビーとはツタ(セイヨウキヅタ)のことで、大学の多くに蔦(ツタ)を這わせた古いレンガ造りの校舎が立ち並んでいたことからこの名称がついたという説が一般的。8校の伝統校があることから別名「Ancient Eight」(「伝統的な8校」の意)などとも呼ばれていた。
Brooks Brothers
1818年創業されたアメリカで最も古くから続く紳士服販売店。いわゆる誂え(あつらえ)のオーダーを製造と販売をした会社としてスタート。1859年にアメリカで初めての既製服スーツを発売。ブランドのシンボルは、ゴールデン フリース(金羊毛)。リボンで吊るされた子羊のマークは、善良公と呼ばれたブルゴーニュ公フィリップ3世に創設された金羊毛騎士団の紋章をだったことから、毛織物商が使しようしていた。その毛織物業界の伝統にならい、ブルックスブラザーズもこのゴールデンフリースを採用した。
3つボタンジャケットが流行遅れの時代に、ジャケットを買う余裕のない学生たちが、古いジャケットのラペルを折り返して2つボタンのように使用していた。このトレンドを定番ラインとして「No1」と名付け、1901年に発表。これがNo1サックスーツと呼ばれ、ナチュラルショルダー・ダーツのないフロント・段返り三つボタン・センターベントのスーツとして、20世紀から約60年間アメリカのビジネスファッションを独占した。他にも、ボタンダウン・シャツ、斜め縞模様のレップタイ、シアサッカー素材のジャケット、アーガイル柄のソックスなど、数々の象徴的なアイテムを打ち出してきた。
J.PRESS
1902年にニューヘイブンにあるアイビーリーグ校の名門イェール大学の近くでジャコビ・プレス(Jacobi Press)が創業。トラディッショナル(伝統)と クラフトマンシップ(熟練)を原点とし、カスタムオーダーメイドの店としてスタート。
エリート学生のキャンパススタイルがファッションムーブメントのアイビールックとして全米を席巻するカルチャーに成長する起点を作ったとも言えるブランド。1940~1950年代に成熟し、その後74年に日本市場向けにライセンス権を売却し、86年 にオンワード樫山が買収。
ポールスチュアート
1938年にラルフ・オストロフがニューヨーク・マンハッタンのマディソン街東45丁目に、アイビーリーガーを対象に開業した高級紳士服専門店からスタート。名称は自身の子供ポール・スチュアート・オストロフからとっており、後にポールが事業を継承している。
英国サヴィル・ロウにルーツをもつ英国伝統のメンズスタイルに、アメリカ的な開放感のあるスタイルが基礎となり、身体の線に沿った優美なシルエットを提案してきた。日本では三井物産は1975年から同社製品の輸入販売を開始し、91年には日本での独占製造・販売権を獲得、三陽商会を中核サブライセンシーとして展開し、現在では婦人服やコスメの印象も強い。また、2013年には三井物産が創業家から発行済み株式を全て買い取って、ポール・スチュアート社を完全子会社化している。
ラルフローレン
1968年、デザイナーのラルフ・ローレン(Ralph Lauren)によって設立されたファッションブランド。本名はレイフ・ルーベン・リプシッツ(Ralph Rueben Lipschitz)。陸軍除隊後にセールスマンとしてブルックスブラザーズに勤務。
1967年にノーマンヒルトン財団の支援で、自身のネクタイブランドを立ち上げて、贅沢な素材を用いた4インチ幅のワイドタイのブランド「POLO(ポロ)」を発表し話題を呼ぶ。1968年にメンズウェアを発表。1971年にはレディスウェアを発表。新たなアメリカン・スタイルを確立させていった。
アメリカン・トラディショナルとしてよく挙げられるアイテム
ネイビーブレザー | ナチュラルショルダー・ダーツのないフロント・段返り三つボタン・センターベント |
ボタンダウンシャツ | 衿先をボタンで留め付けるシャツ |
レジメンタルタイ | 向かって右下がりになっているアメリカ的なレジメンタル柄 |
レタードカーディガン | 胸に校章やエンブレムのついたカーディガン |
スタジャン | 胸や袖に校章やエンブレムのついたジャンバー |
チノパンツ | チノクロスのストレートパンツ |
ローファー | ひも(紐)も留め具も用いずに足をすべり込ませて履く靴 スリッポンの一種 |
アメカジ(アメリカンカジュアル)
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