帯電防止加工
帯電防止加工とは、水分率の少ない合成繊維が摩擦によって生じた静電気を流すことができずに帯電することによっておこるパチパチと放電することや、ホコリを吸着して汚れやすくなることを防ぐための加工のこと。繊維は本来は電気を伝えにくい性質を持っており、しばしば絶縁材料にも使用されることがある。天然繊維は水分率が高く、わずかでも電気を流すため帯電を危惧することはないが、合成繊維の性質上、最近では帯電防止加工の表示がなくても機能が付与されることが多くなっている。
カジュアル服に対しては、静電気のパチっと火花が飛ぶ不快感を防止するためであるが、化学工場などで使われる作業服は、静電気によって危険物に引火して爆発事故が起こってしまう可能性があるため、静電繊維・導電繊維を使用していることが安全上に必要不可欠の機能となっている。
静電気を防ぐ方法
1.湿度を高くする
空気中の水分が高くなると静電気が逃げやすく(放電しやすく)なるため、湿度が高い梅雨時や真夏など帯電し難くなります。冬のセーターなどで静電気のパチパチという不快感があるのはそのためです。
2.帯電防止剤を生地に塗布する
帯電防止剤は、空気中の水分を吸着しやすくなることで導電性(電気の通しやすさ)を付与する界面活性剤タイプのものが主流です。生地表面の導電性が高くなると静電気が逃げやすくなります。衣類にスプレーして静電気を防ぐものは、帯電防止剤が使用されています。
3.導電性繊維の使用
導電性繊維とは、ナイロンやポリエステル糸の芯部分に繊維の製造段階にカーボンブラックなどの導電性の物質を入れ(炭素は電気を通しやすい)を入れた繊維れたり、表面に金属を蒸着させて導電性を持たせた繊維のことです。生地が帯電した場合、導電性繊維は雷が避雷針に引き寄せられるのと同じ様に、静電気が導電性繊維に引き寄せられます。導電性繊維に集まった静電気はコロナ放電という微弱な放電を始めるため、帯電が起こりにくくなります。帯電防止剤は、洗濯等により徐々に効果は薄れていきますが、導電性繊維は破断しなければ半永久的にその効果を発揮します。そのため、静電気による事故が発生しやすい電子部品を扱う工場や、危険物を扱う化学工場・ガソリンスタンドでの作業服は、耐久性のある導電性繊維の入った生地が使用されています。