オーバーロック【overlock】
オーバーロックは、縫い代の切れ端をかがり始末する環縫いの一種。二本針で4本の糸を使用するタイプのものが多い。
Tシャツやポロシャツ・トレーナー・パーカーなど、ニット素材を使用するカットソーアイテムに対しては伸縮性に対応するためオーバーロックを使用する。縫製距離に対して、ジグザグに糸を振っているため縫製距離よりはるかに長い糸を使用している。そのため、引っ張りに対してバネのように伸縮して対応できるようになっている。ただし、縦方向の針糸に関してはそこまでゆとりがない。
針糸の糸調子がきつすぎると、縦の引っ張りに弱くなり切れることがある。また、振り糸の糸調子が弱過ぎると縫い代端にループが出てしまい、強すぎると縫い代を丸く巻き込んでしまう。
オーバーロックの糸調子について
糸調子についても糸調子について不良となることがあります。
振り糸が緩い状態(花が咲いている)
振り糸が弱く、裁断面から浮いている状態(引っ掛かりやすくなる)
生地の巻き込み・かまぼこ
メス幅が広い、もしくは振り糸が強いことで生地裁断端を巻き込んだり丸まったりしている。(縫い代がゴロついてしまう)
針糸のゆるみ
針糸が緩い状態、縫い目が不安定となり表に返して引っ張ると隙間が大きくなってしまう。
糸調子が整った状態
- 針糸が裏から点で見えている
- 上振り糸のループがちょうど裁断面を包んでいる
- 下振り糸が裏側のみをカバーしている状態
生産の注意
二本針が並んでいるミシンは、基本的にカーブ不得手である。特にミシンの構造上、内向きのカーブは非常に縫いにくく、上の乗せている生地にメスで生地をカットしながら縫製する。メスの切れ味が悪いと縫い代が残ってしまうことがある。糸調子の調整は非常に繊細で難しいので、薄い生地を扱う工場、厚い生地を扱う工場で、得意なアイテムが異なることがある。また生産途中で違う生地を縫製することは、糸調子の変更が必要となるので工場としても、生産管理としても避けたい。