
縫製工場【sewing factory】
アパレルの縫製工場とは、メーカーからの受託によりファッション製品や雑貨・かばん等を生産する工場のこと。布帛・カットソー・子供服・雑貨・カバンなど、それぞれの適正に応じて必要なミシンが違うため、同じ縫製とはいえ縫製工場によって得意不得意や、不可能な仕様やアイテムが細かく分かれている。また、メンズとレディスといった違いでも、同じアイテムを作ったとしても仕上がりの雰囲気が大きく違うことがある。
-
アパレル生産未経験者も知っておくべき日本国内の縫製工場について
続きを見る
メンズが得意な縫製工場の特徴
メンズウェアはカーブが少なく、直線的なシルエットのアイテムが多い。そのため、正確な直線縫いや各パーツにおいてもキッチリした硬いイメージの縫製になることが多い。レディスに比べてアイテムバリエーションが少ないので、ある程度決まった仕様のものを正確に生産する縫製工場が多く、ミシンの種類に関しても少なめ。生産数としての馬力は高い。またハンガーではなく、たたみ納品のアイテムが多いので、アイロンもきつめの圧力でプレスされている。
レディスが得意な縫製工場の特徴

アイテムバリエーションが多く、カーブを滑らかに縫製することが得意。扱う素材も多く、デザインも豊富なのでミシンの種類も多数取り揃えている。但し、同じミシンを多く持っているわけではないので、1日の生産数としての馬力は高くない。工場によって、すくいミシンや、メローミシン、千鳥ミシンなどを所持していることがある。正確さよりも、レディスらしい雰囲気の良い製品が上がる。ハンガー納品も多いので、アイロン台に置いて強くプレスをすることが少なく、ハンガープレス機や蒸気を蒸すような、フワッとした軽い仕上がりが得意。
子供・ベビー服が得意な縫製工場の特徴

基本的には大人用の服と縫製そのものは変わらないが、子供服ならでは「小ささ」に対応した筒縫いができる腕付きミシンや、細いバインダーに特化したラッパを所持しているのが特徴。また、ベビー服には必須のスナップ付けの機械を持っていることが多い。あまり知られていないが、ベビー・キッズの服はホルムアルデヒドの検出基準が非常に高く、基本的に大人用の生地と同じ場所では裁断できない。作りは同じでも子供服の生産工場は、子供服専門であることが多い。
カバン・雑貨が得意な縫製工場の特徴

カバンや雑貨を扱う工場は、固く分厚い素材や滑りやすい素材を扱うため、パワーのあるミシンや押さえの上下が動く特殊なミシンを使用していることが多い。またカバンのような立体アイテムを縫うために、筒状が縫える腕ミシンとなっている。各アイテムは形状が複雑で、縫直しが効かない合皮や皮革、ビニール素材などを縫うためミシンのスピードは遅くなっている。ドットボタンやリベットを打つための機械が揃っている。
縫製工場の選定
最近はインフルエンサーブランドなどが増え、アパレル生産に関しては知識の乏しい方でもアパレルブルンドを立ち上げることが増えています。縫製工場ならばどななアイテムでも生産できると勘違いしがちですが、各縫製工場は各々が得意とする生産アイテムに合わせてミシンを買い揃えて、生産ラインを組んでいます。縫製ができないというわけではないですが、「得意ではない」「スピードが合わない」「機械が合わない」そのため「工賃が合わない」ということで状況が異なります。自身の作りたいアイテムに適した縫製工場を選定することが重要です。