台場仕立て
台場仕立てとは、ジャケットの裏地の耐久性が弱い時代に裏地の張替え補修を行うために、手間が多く掛かっているポケット周りは直す必要がないように部分的に強度を重視して仕立てた内ポケットのこと。アフターメンテナンスを考慮に取り入れられた仕立て屋の工夫から、現在は高級感のある装飾的デザインとして既製品スーツやオーダースーツのオプションとしても人気の高い仕様となっている。台場仕立ての名称の由来は、江戸時代の末期の鎖国中に、外国の艦隊から沿岸の都市を守るために人工的に築かれた海上砲台(台場)をイメージして呼ばれるようになった。
台場仕立てには、いくつかのデザインがあり、見返しとポケット口が一続きになっているものを「本台場」と呼び、ポケット口周りを別パーツとして縫製で接いでいるものを「切り台場」と呼んでいる。「本台場」に関しては、マーキングの関係上、要尺が増えてしまうためコストが掛かり、場合によっては生地が不足する可能性があるので、「切り台場」の方が効率が良い。
上の写真のように先が尖っている形状の台場は、切り台場仕立ての剣先台場ポケットと呼ばれる。台場のデザインは他にも「角台場」という脇線とアームホールまで繋がっているデザインが多い。