
【アパレル生産管理】工場の納期は極端に早まらないことを簡単に解説
アパレル生産管理者としては品質の良いアイテムをスケジュール通りに納品するように手配するのが仕事です。しかし、アパレルの生産にはスケジュールの遅れや、トラブルがつきもの。そんな時に縫製工場には、何とか納期に収めるように、そしてスケジュールの遅れを短縮するように交渉することでしょう。ただ、生産管理の本質はトラブルが起こらないように先手を打ち、前倒しで生産を進めていくものです。「納期を短縮してくれっ!」と縫製工場に指示したところで、そうそう生産力が上がるものではないということをシンプルに解説していきたいと思います。
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アパレル縫製工場の1日の生産力の上限
1日の生産力の基準をボタン付け・ボタンホールから考える
アパレル縫製工場の生産力を最も分かりやすく説明するならば、ボタンホールミシン・ボタン付けミシンを使用して1日あたり何着分取り付けられるかで最大の生産数が分かります。まずは半袖ポロシャツで考えます。1日8時間稼働して400着縫製できたとします。

この工場には、仮にボタンホールミシン・ボタン付けミシンが各1台。今回のポロシャツが2つボタンのデザインとして、一人でボタンホールとボタン付けミシンを使用して1時間50枚計算。縫製工場の生産枚数は、このように機械の数量で1日の最大の生産数を左右します。必ず通らなければならない工程の数量で最大生産枚数の目安ができます。それに合わせて裁断・仕上げ人員が必要となります。当然のことではありますが、縫製が400枚以上生産できたとしてもボタン工程で400枚以上進まないため目詰まりを起こしますし、仕上げアイロンの作業が1日400枚以上出来たとしてもボタン工程が終わらないので、作業者の手を余らせることになってしまいます。工場の人員と設備は、受注の多いアイテムに合わせて、なるべく無駄のないように配置するように工夫されています。
発注漏れで、ボタンが届いていないとどうなるのか?

もし、ボタンホールとボタン付けの工程前でボタンの発注漏れやボタンの変更が発覚したら、どうなってしまうでしょう?
ボタンホール・付けの工程が進まないので、その日の縫製上がりはゼロとなってしまいます。極端な話をすれば、仕上げ作業をする人の仕事も止まります。そして他の品番の縫製工程は進み、ボタン工程前の製品がたまります。仮に次の日からボタン工程が進行できたとしても、やはり1日の最大縫製上がり枚数は400着に変わりはありません。
この場合、他の品番の縫製作業を進める。他の品番から優先してボタン工程を進める。もちろん工場側も無駄に人を遊ばせるわけにはいかないので、流動的に対処します。ですが作業の入れ替え、人員の配置の入れ替えで時間のロスは否めません。少なくとも次に生産をすすめている品番を縫製を進めてるにしても、ボタン工程まで進行するまでに時間が掛かることは間違いありません。
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スケジュールの遅れを取り戻すには、どうすればいいのか?

縫製工場で1日にボタン工程を400着しかできないのであれば、遅れを取り戻すにはどうすればいいでしょうか?
1.残業をする
まずは残業をして、遅れたロス分作業をなるべく進める方法があります。しかし、残業時間は原則として月に45時間。22日稼働としても1日当たりはせいぜい2時間の残業となります。そして、残業時間は時給換算として1.25倍の賃金が必要となります。
2.外注・協力工場に作業を依頼する
次に協力工場に作業を依頼する方法があります。自社の人員とは全く違うので、遅れを取り戻せる巾は大きくなります。しかし、普段から取引がなかったり、繁忙期のタイミングではすぐに作業に取り掛かってもらえない場合も多いので、思うようにスケジュールが早まらないこともあります。また、ボタンホール・ボタン付けのみを協力工場に依頼できたとしても、今度は自社のアイロン・仕上げのキャパをオーバーすることも考慮しなくてはなりません。そしてコストに関しては非常に大きな負担となります。
ボタンを使用しないデザインの製品を生産の場合は?
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縫製工場がボタン付けやボタンホール等の特殊ミシンが必要な工程によって、生産数が決まって来るということはなんとなくご理解いただけたかと思います。ここでボタンのないトレーナーやパーカー、Tシャツもありますよね?っという疑問が浮かんでくると思います。まさにその通りで、アパレルのデザインは無限にあり、ボタンの必要なデザインであるとは限りません。
だからこそ、ボタン付けやボタンホールミシンは工場には最小限の設備のみそろえて、ボタン工程専門の人員も配置していない工場が多数あります。その場合は縫製工場の社長がボタン工程を行うこともよくあることなのです。
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縫製工場の人員配置

縫製工場の人員配置は大まかに分けて、裁断・縫製・仕上げに別れています。工場側でももちろんトラブルに対してなるべく柔軟に動けるように工夫はしていますが、基本は前工程である裁断と最終の仕上げの間での人員を状況に応じて入れ替えることが多いと思います。基本的に縫製人員は縫製のみを行わなければ、そのまま生産数に影響しますので動かしません。また、日本の多くの工場は技能実習生を受け入れています。技能実習生は労働力ではなく、縫製の技能を勉強するために来ていることを前提としてますので、縫製工程以外に配置することは法律違反となります。これは意外と知らない人が多いので注意すべき点になります。
アパレル生産管理として心がけること

アパレル生産管理として重要なのは、良い製品を作るために総合的指揮をとることです。そのためには縫製工場さんとの緊密な連携が欠かせません。乱れてしまった生産の遅れを取り戻すこと、流れを正常に戻すことは時間やコストが掛かっていることを理解しなければなりません。なるべく工場が生産の流れを滞らせないように様々な手配をし、トラブルが起こった場合にも即対処する心がけが必要です。多くの企業から様々なブランドを受けている協力工場で生産する場合にはなおさら、「他の企業の生産管理よりも進めやすい手配をする」というくらいの心構えで望むと、工場さんとの信頼関係も高まっていくことでしょう。
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