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熱で消せるフリクションペンを縫製工場で使うとトラブルの元【要注意】

熱で消せるフリクションペンを縫製工場で使うとトラブルの元【要注意】

 

PILOT社製のフリクションシリーズのペンをチャコの代わりに使うことで、アパレル製品にトラブルが起きています。フリクションシリーズとは書いたものをゴムのような部分でこすると、摩擦熱によって消えるというとっても便利な筆記用具で、私も愛用させていただいてます。60℃くらいで消えるのでアイロンを当てれば、簡単に無色透明になります。紙に書いたものであれば、ペンのインクは消えても筆圧の跡が残ってしまうこともありますが、生地に書いたものは全く痕跡を残さず消すことができてしまいます。もしこれがこのまま完全に消えてしまうのであれば、アパレルの生産にとてつもなく便利なものになったと思います。

 

 

6~7年前だったと思いますが、私も日本の工場で生産したポロシャツにこのトラブルが発生しました。生産したポロシャツを倉庫に置いている間に印が浮き上がってきてしまいました。PILOT社様のホームページではマイナス10℃前後で筆跡が戻る可能性がありますと記載されていますが、大阪の倉庫だったのでそこまで温度は下がっていないかったと思います。問い合わせしたところ乾燥(湿度)することも関係しているということだったので、どのような条件で顕在化するかは、なかなか確実性のあるコメントはできないそうです。最近起こったトラブルもまだ寒い時期に倉庫に保管しておいて発覚したようです。

→パイロット社のQ&Aはこちらから

 

このトラブルが発覚すると、非常に厄介な点がいくつかあります。

ポイント

  • 洗濯しても落ちたかどうか分からない。乾燥機の熱で消えているかもしれない。
  • 溶剤で落とすことができるが、乾かす際のドライヤーでも消えている場合がある。
  • 常温では、落ちたかを確認ができない。冷やして保管したり、コールドスプレーをかけて確認が必要。
  • 顕在化していない部分があるかもしれないが、常温では確認できない。
  • 消えている状態が、インクが落ちたからなのか、熱や湿度で見えない状態なのか判別がつかない。

 

 

 

 

コインランドリーに持ち込み、乾燥機をかけた結果。見えなくはなっていましたが、冷やしたらインクが浮き上がってきてしまいました。また、シミ抜きに使用するドライ系の溶剤を吹き付けてインクを落とそうとしましたが、完全に落とすには何度も行う必要がありました。結局、1着分の顕在化して見えていた部分だけでも落としきるのに、かなりの時間を要することになってしまいました。ですが、これが1度発覚すると、本当に見えていた部分だけに使用していたのか?場合によっては、他に生産していたものに関してはどうなのか?確認するのも恐ろしい疑心暗鬼に陥ってしまいます。

 

熱で消せるペン・フリクションを使ってしまったことが発覚したら

参考

  • 使用箇所の確認 → 冷凍庫orコールドスプレーを全体に吹き付け
  • ドライクリーニング、もしくはシミ落としの有機溶剤で落とす。(通常のランドリーの洗濯・乾燥では完全に落ちませんでした) → コールドスプレーで再確認

枚数が少なければ、上記の通り1枚を確認後に全数同じ作業を行う。

枚数が多い場合は数例の対処方法と所要時間を確認後に、対処方法を確定してから残りを進めた方が良いです。このトラブルは「見えない」ということが非常にネックですので、最終的な作業を確定しないまま並行して作業を進めてしまうと、二転三転して作業時間が膨大になる危険性があります。

 

 

 

 

 

私が過去に携わった時には、国内・海外の全ての自工場・協力工場に連絡して使用しないように呼びかけました。しかし、最近になって今度は中国生産で起こり始めたということは、今後も常に徹底して不使用を連絡しておかなければ、今後は東南アジア生産でも起こる可能性が高いでしょう。私が携わっていた日本の縫製工場のベトナム人実習生が帰国する際には、フリクションボールペンを大量にお土産として持って帰りました。私はこのトラブルを経験済みだったので、彼女達に「このペンは熱で消えたように見えるけど、冷えたら浮き出てくるから、服に印するのは絶対にダメですよ!!」と説明しました。ですが、彼女たちが本当に私の言ったことを理解してくれたのか、彼女たちが理解してくれてもお土産として渡した人たちに説明できるのか、、、残念ながら、無理だと思います。ですが、帰国土産を取り上げるわけにもいかなかったのが実情です、、、

 

 

注意

フリクションシリーズは、アパレル生産のプロダクトレベルではチャコとして使用しないこと!!

 

ネット上のブログでは、このフリクションがチャコ代わりとして非常に便利だという紹介されているのを見かけました。確かに個人でのクラフトや限られた人数のお客様用に丁寧に作っていれば、大きな問題にはならないかもしれません。個人で作っていれば、使用した箇所も把握していますでしょうし、ペンの特性も十分に理解して使用できます。

 

 

【拡散希望】

 

しかし、工場のプロダクトとしては、全員がそのペンによって起こりうるトラブルを十分把握できるとは思えませんし、印がずれることも縫製で隠し切れない可能性も高いです。どの製品も出荷される前には必ずアイロンされて、たとえそのペンを使っていても検品では気が付くことは不可能です。そして何より危険なことは、1枚の発覚がその商品全てのチェックの必要に繋がったり、全数の返品にさえ繋がる恐れがあるからです。”いつ爆発するかもしれない不発弾”のような製品を出荷したくはないでしょう。私の結論は、フリクションはチャコとしては使用しないこと!!ということです。このトラブルが起こらないように願うばかりです。

 

読んでいただき、ありがとうございました。。。

 

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  • この記事を書いた人

ni-no

長年アパレル業界で働いて、スーツ工場勤務から生産管理やカットソー縫製工場の責任者をしてきました。少しでもファッションやアパレル業界のためになるように、トラブル対処の経験やノウハウをメインにまとめています。 ついでに仕事合間の趣味に関しても記事にしています。 ウェブサイト作成と運営 ウェブライティング アパレル製品企画 アパレルOEM生産 承っております。 お気軽にお問い合わせ下さい。

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