裁断指示【cutting instructions】
裁断指示(指定)とはアパレル製品を生産する際に、生地の裁断の仕方について指定すること。
仕様書に指示として記載されるもので、主に生地の色や柄、起毛加工などによって指示が変わってくる。指示方法はメーカーや縫製工場によって違いがあるので、言葉の解釈に関しても必ずしも業界で統一されていない場合がある。
裁断指示をするための要素
有効生地幅 | 生地幅によって要尺が変わる |
色 | 生地の染色ロット差 |
地の目 | パーツによって縦・横・バイアス |
生地の上下 | 生地織り目・生地編み目・逆にしたときの光沢差・ポリエステル100%生地の伝線 |
柄位置指示指定 | チェック・ボーダー・プリントの主要柄位置 |
毛並み | 起毛方向(見た目・手触りが変わる) |
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生地方向
一方向裁断
一方方向裁断とは主に無地の生地を使用する場合の指示。生地そのものには明確にどちらが上下というわけではなく、製品を組み立てたときに生地の上下がそろっていればよいという指定方法。生地の上下は工場に任せるという場合は、このような指示をする。しかし、無地の生地であっても光沢のあるポリエステル素材などを使用する場合は、上下の違いで色が違って見えることもあるので、基本的には全ての反物でどちらが生地の上下かということは統一したほうが良い。
一着一方向裁断
一着一方向裁断とは、製品ごとに生地の上下が統一されていればいいという裁断指示。2人取り・3 人取りといったように複数人裁断をマーキングする際に、上下を逆にすることで要尺を詰められる可能性があることがメリット。裁断品の管理をしっかりとしないと、一つの製品の中で上下が違うパーツの服が生産されてしまうというトラブルが起こることがあるので注意が必要。
差し込み
差し込みとは、一着の製品の中でも生地の上下は関係なく裁断してもよいという指示。マーキングの際にはとにかくコストを削減するため要尺を縮めたいという意図。安価な大量生産の場合にこのように指示されていたことがあるらしいが、最近では安くても一定の品質が求められるようになり、この指示は基本的にされていないと思われる。
撫毛(なでげ)・並毛(なみげ)
起毛素材やパイルなどの生地を使用する場合に、毛並みが上から下に流れるように生地の上下を指定する指示のこと。
逆毛(さかげ)
逆毛(さかげ)とは、起毛素材やパイルなどの生地を使用する場合に、毛並みが下から上に流れるように生地の上下を指定する指示のこと。
色ロット
数千単位の製品生産や、生地メーカーの在庫生地の場合は条件が同じだとしても染色ロットによって色差が生じることがあります。わずかな色差でも縫製した場合、パーツの色差が目立つ場合があります。縫製工場の裁断時の目視では判別できない場合があるので、そういったトラブルを防ぐための指示が必要となります。
反裁ち
一反ごとに裁断ロットをつけて裁断する方法。つまり複数の反物を使用しても、同じ反物内で一着の製品とするので最も色ブレのトラブルの可能性が少ない指定方法。ただし、ロット管理がの手間がかかることや、それぞれの反物ごとに修理用の生地をキープしておく必要もあり、生地ロスが多くなってしまう。反物内に生地不良が多いと、修理が不可能になってしまうなどのデメリットもある。裁断ロットを管理するために、1反ごとに色を変えるか、反物が替わったときに薄紙を敷いて、裁断ロットが混ざらないようにする。
ロット裁ち
生産数が多く、生地の染色ロットが分かれた場合や生地メーカーの在庫反を使用するときに、染色ロットが違った反物を使用する際に、同じ染色ロットで統一して製品にするように指定する裁断方法。基本的には同じ素材を同じ釜で染めるので、色差がないことを前提としている。色ロットが変わらない限り同じ色を続けて延反できるので、作業効率が良く、さらに裁断ロット管理も楽になる。