アパレル生産管理にできるパターンディレクションの方法
アパレルの生産管理の役割は、会社によって若干変わっていますが、非常に生産現場である縫製工場近いポジションです。縫製工場も少しずつ特徴が違い、同じような製品を縫製しても工場独特のクセが出ることがあり、ままたサンプルを制作していくなかでチェックすることで生地の特徴も理解することができます。今回は製品のサイズトラブルを防ぐために、アパレル生産管理者がパタンナーに型紙の修正依頼をするときに製品や工場の特徴によってどのように工夫すればトラブルが起こる可能性を減らせるかについて解説していきたいと思います。
パターン修正依頼について
パターンの修正依頼そのものに関しても、会社によって誰が数値を指示するかも役割は違うと思います。場合によってはパタンナー自身が商品を検品して修正をするということもあるでしょう。
1stサンプル、展示会サンプル、本生産前確認サンプルなどと段階がある中で、全てのチェックをしているポジションの人が指示することが最も適していると思います。サンプルもその時々でサンプル工場さんで作成したり、本生産の時に工場変更になることなど、状況を理解したうえで修正指示も行わなければなりません。チームとして各品番ごとに情報が共有出来たらいいですが、最も生産の流れを把握しているのは生産管理担当者ということになります
カットソーのパターン修正指示
カットソーのパターン修正に関しては少しコツがあります。生地(反物)は巻いた状態で保管されており、内側と外側、巻き始めと・巻き終わりでもテンションが違っています。多くの場合は引っ張っていたものが戻る作用が働くことを考えて少し大きめサイズを狙うことをおすすめします。基本的な考え方としては短く出来上がったものを伸ばすには、アイロン仕上げで引っ張るくらいしか方法がありません。
しかし大きく仕上がったものは、アイロンで縮める方法と、場合によっては解いてカットするという方法をとることができるからです。カットソーアイテムのサイズ許容範囲も多くの場合は、プラスマイナス1㎝~1.5cm程度までという設定が多いですが、短いものはやはり不格好に見えることが多いです。
素材に合わせたパターン修正指示
パターン修正の際に素材特性に関しても考慮に入れておけば、最終的な製品が狙った通りのサイズに上がらなかったときの対処のやりやすさも考えてリスクを抑えることができます。サンプルを作成していく過程でどのような生地にどのような傾向があるのかも確認しながら進めるのが良いでしょう。サンプルごとにサイズが安定しない生地に関しては特に注意しながら、パターンからサイズをどのように狙っていくかを打合せると大きな問題を減らすことができます。
生地画像 | 生地名 | 混率 | 仕上げ特徴 | アイロンのサイズ調整 | パターンでの調整 |
カノコ | 綿100% | 濃色はアタリが出やすい | 伸ばす・縮める共に 多少可能 | ジャストサイズ を狙う | |
キャプション | カノコ | 綿60% ポリエステル40% | 綿100より安定性が高い | 伸ばすことは若干可 縮めるのが難しい | ジャストサイズ か少し長め |
キャプション | スムース | 綿100% | 横方向に伸ばしやすい 縦方向は伸ばし・引っ張り 共に若干のみ | 横方向に伸ばしやすい 縦方向は伸ばし・縮める 共に若干のみ | ジャストサイズ か少し長め |
キャプション | ベア天竺 | 綿95% ポリウレタン5% | キックバックが強い | 短く上がったものを 伸ばすのは難しい | サンプルから長め |
キャプション | ベロア | 綿80% ポリエステル20% | アイロンのアタリが 出やすいので | アイロンのアタリが 出やすいので ほぼ蒸気のみ サイズ調整は難しい | ジャストサイズから 少し大きめ |
ワッフル | 綿100% | 綿の混率が多いと 縦に伸びやすい | 綿の混率が多いと 伸ばす・縮める共に 若干可能 | ジャストサイズ |
工場に合わせたパターン修正指示
カットソー工場は特に、オペレーターのスキル・オーバーロックミシンなどで目分量で縫い代をカットしながら縫製したり、裾の二本針ミシンもカットする工場もあれば目分量で折り返して縫製することもあり、工場によってサイズの出方にクセがあることがあります。1stサンプルからすべて同じ工場で生産していれば、その特徴を考えてパターンを調整することができます。ただし、急なトラブルで工場の変更などを行わなければならないこともあるので注意が必要です。基本的には少し大きめを狙ったパターン調整をしておく方が無難であることが多いです。
サンプルごとに経験値を増やしていくことの重要性
サンプルはただ指示通りに工場さんに仕上げてもらうだけでなく、1stサンプル、展示会サンプル、確認サンプルと経験値を高めていくことが重要だと思います。検品・検寸した内容を比較検討することで、不自然な部分やこれまでの実績と違う箇所が発見できるかもしれません。そういった経験値を高めていくという意味でも、検品チェックすることを軽んじてはいけないと考えています。生産管理もパターンのことはパタンナーにお任せという方もいますが、生産の全体に責任のあるポジションとしてパターンに関しても関わって指示していくことがトラブルを減らすための一つの方法ではないでしょうか。
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