服を選ぶ時にせっかくだから変わったデザインとか、自分が持っていない服を買ってしまいがちです。ですが、新しい服を買う時にはもっとシンプルな発想で服を選ぶ方が、オシャレだったり、長く着れたりします。IT用語としてユーザーフレンドリー(user-friendly)という言葉があります。ユーザーインターフェイス、つまりユーザーにとっての使いやすさを考えて画面仕様を設計するという設計思想のことで、説明書など無しにどれくらいユーザーにとって使用しやすい画面かというところでしょうか。
ここからは、ファッションにおいても、ユーザーフレンドリーな視点で服を選んだ方が、結果的に長く使える服を選ぶことに繋がるということを解説していきたいと思います。
ユーザーフレンドリーなおすすめファッションの視点【発見】
ユーザーフレンドリーなデザイン。これをファッションに当てはめてみると着回しのしやすさやお手入れのしやすさが、ユーザーフレンドリーを考えた製品と言えるのではないでしょうか。生地に関しては、汚れにくい加工や洗濯してもシワになりにくいような加工があります。デメリットとしては、コーティングがしてあるので少し硬く、肌触りは良くないことがあります。
デザインに関しても扱いやすさを決める部分があります。あるワンピースを見かけました。シンプルなワンピースに差し色の別布を前身頃上にポイントとしてデザインされているシンプルで上品なワンピースです。できるだけステッチを外に見せないで、ドレッシーな雰囲気を損なわないようにしているのは、デザイナーさんの意図を反映してのことでしょう。シンプルでまとまったデザインだと思います。前身頃別布には見返しもついて、ドレッシーな雰囲気を損なわないようにしています。
ユーザーフレンドリーはプロダクトフレンドリーでもある。
惜しいと思えた部分が、見返しが裏側でどこにも留まっていないことです。一枚ものの長い見返しで、場合によっては前に開いてきてしまいます。着用していても開いてきていしまいそうですし、洗濯すればおそらく間違いなく開いてしまうでしょう。切り替え部分で落としミシンでも入れて留めておけば、ユーザーさんにもっと扱いやすいのではと考えてしまいました。
デザイン上、少しでもステッチが表に見えそうになるのを避けたかったかもしれないですが、前身頃の縫い目に落としミシンをしたり、縫い代と見返しの部分で裏側を留めるか、少し手間ですが手縫いで留めることもできたと思います。ユーザー様にとっては、おそらくその方がアイロンもしやすいはずです。そして、もう一つ付け加えると工場生産の仕上げアイロンもやりやすくなるはずです。
この辺りは、アパレル生産管理の目線ですが、デザイナーさんにも一考お願いしたいところですね。
ユーザー目線の”取り扱い易さ”としての設計思想
全体の雰囲気でのデザインはもちろん大切ですし、その部分の留めのあるなしで販売に影響するかは分かりません。むしろ落としミシンの場合は、それでお買い上げいただけない場合もあるかもしれません。ですが、お買い上げいただいた後に扱いにくさを感じて、その服をあまり着なくなってしまったり、ブランドのファンを減らしてしまう可能性もあります。
デザインを考える中で、ファッション性のこだわりはもちろん重要ですが、取り扱いのしやすさを考えたユーザーフレンドリーのデザイン思想を考えるのも大切ではないでしょうか。