生産トラブルから学ぶ【アパレル資材デザインについて】
アパレル商品はコストを落とすことに着目しがちですが、トラブルを無くして無駄に利益を減らさないことにはあまり注目がいっていないように思います。実際のところアパレルの生産には糸・生地・プリント・刺繍・縫製・検品という過程のなかで様々なトラブルが頻発し、繁忙期には心配で精神をすり減らしながら生産管理を行ってました。それはトラブルを見直さないで、原因を残し続けていることにも理由があるように思います。今回は生産トラブルからアパレル資材のデザインについて考えておくことについて解説します。これはコスト削減をして小さくブランドを作りたいという方にも考えていてもらいたいことです。
資材に関するトラブルとは、主に付け方のミスによって起こる単純ないわゆる人為的ミスです。ネームの付け方、裏表の間違い、ボタンの付け方向など、不注意で起こること。これは確かに指示通りに付けていないことが悪いですし、検品でも何故見つけられなかったのか?っと、ただただ怒られるということを経験した人も多いのではないでしょうか。しかし、こういった不注意という理由で起こるトラブルこそ、何故?っと言われようが管理者からしてももはや手の打ちようがなく、「今後注意します!!」っと言って大した対策が打てないのが正直なところではないでしょうか。
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ネーム付けトラブル事例
これは実際にあったブランドネームのデザイン例です。しっかり確認すれば、逆さに付けることもなく、検品でも見つけないといけないと思います。しかし縫製時に一度落としてしまったり、検品もうっかり見落としてしまったということが時々起こっていました。【英語を読んだら分かるだろ!】っと注意されたこともあったようですが、中国の内陸・東南アジア方面の地方という具合に安価な生産地を求めていた状況で、英語が読めるかというとやはり100%間違いないとは言えないのではないでしょうか。ならば、そもそもトラブルが起きる原因そのものを根本的にデザインを変えることの方が確実とも考えられます。
生産工場が気を付けたらいいんじゃん!!
トラブルが何度も起きてるなら、
根本原因そのものを見直すのも一つの方法じゃないかな?
ボタン付けトラブル事例1
オリジナルデザインのボタンをデザインした時にも、上下など付け方を注意しなければならないものにはトラブルが起こることがよくある。上下のあるシャツボタンなどは一個一個確認してセットするにはそもそ文字が非常に小さくて見えにくい。そしてドットボタンの柄に関しては、打つ際に裏向きとなるのでズレが分からないことや、打つ際の動きでズレてしまうこともある。ボタン付けミシンやドット打ち機には、ボタンを一個一個セットしなくても良い自動機が開発されているものの、方向指定がある場合は使えない。これはデザインによって、せっかくの設備投資が有効利用できないケースがあり、工場側としては企業努力で効率を上げることができない。本来はデザインと生産性の両面があってこそ、企業努力によって効率を上げることができる。こういったプロダクト視点がなければ工賃を下げて欲しいと要望されても、改善できないのがアパレルの生産現場ではよく見られ、またトラブルの原因の一つでもある。
ボタン付けトラブル事例2
これはサンプルでは問題がなかったことが、本生産で発覚したボタンに関してのトラブル。ボタン付けミシンの針折れが多発した工場からの連絡で発覚して、オリジナル2ツ穴ボタンのハトメが中心からズレていたケース。アパレル会社のデザイナーと資材メーカーが打合せをして作られたオリジナルボタンでした。しかしこのトラブルに対して資材メーカーからは【ボタン付けミシンに対応しているとは言っていない】という返答が返ってきました。縫製工場としてはもしすべて手縫いでボタンをつけないといけないならば、縫製工場としてはもちろん同じ値段でできるはずがありません。それどころか、針が折れてしまうことで製品そのものにも穴が空いてしまったものがあったのです。このようにプロダクトのことを考えていない打合せの中で、資材もデザインされているというケースがアパレル業界には多いように感じます。
プロダクト視点もなければトラブルは減らない
本来ならば自身のブランドにとっての商品については、トラブルを減らす努力やコスト削減も自分事のはず。しかし、このように効率が落ちる原因、もしくはコストが上がる原因をデザイナー自らが作っている場合があります。これでは工場が企業努力をしようと考えても意味がありません。企業努力で製造コストを下げるには1社のみの工夫ではなく、製品に関わる全ての場面で努力しなければならないのではないでしょうか。そういった部分を改善することは、アパレル企業にも商社・メーカーにも縫製工場にも、全てにメリットがあるにも関わらず、ないがしろにされている部分ではないかと感じます。
デザイン性とコスト
もちろんアパレル・ファッションアイテムはコストを追求してシンプルに簡単に生産できるようにすればいいというだけではありません。ファッションにかけるお金が減ってきて服が売れないと言われている中で、魅力的なデザインというのも絶対に必要不可欠なもの。デザインとして拘りたいとう部分に対しては、やはり妥協してはいけないと思います。だからこそ生産性を落とすべきでない部分を見極めて、拘りの部分に時間とお金をかけられるようにするのが本当のプロダクトデザインなのではないでしょうか。これが大量生産という枠で戦えない小ロット生産や、個人ブランドで可能な限りコストを抑える数少ない方法だと思います。
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