ファッション・アパレル物流倉庫で無駄な作業を減らす方法
アパレルの仕事現場に限りませんが【この作業って何の意味があるのだろう?】【これってむしろ後で作業する人に余計な手間がかかってるのでは?】【もっと効率よく作業したら、早く仕事が終われるのに】なんて考えながら仕事をすることがありませんか?
この記事では、アパレル物流倉庫での経験から【やらなければならない作業】【やめるべき作業】【やり方を改善できる作業】という3つの視点から、仕事を効率良くするにはどうすればいいかという考え方について解説していきます。
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アパレル物流倉庫での効率的な作業について
アパレル物流倉庫業とは
アパレルの物流関係の仕事にも様々なポジションがあります。アパレル企業がお客様や各店舗に発送するための自社の物流部門や、ZOZOTOWNのようにECファッションモールとして、一括で多くのブランドの商品を管理している物流拠、さらに他にもOEMメーカーがアパレル企業の倉庫に発送するまでの検品や作業を行う物流倉庫など多数あります。
そういった倉庫事業者は海外で生産されたアイテムを検品・検針したり、たたんだ状態で海外から送られてきた商品をハンガーに掛ける作業、また相手先が引き取るまでの保管などの役割も担っています。
商品の梱包・納品方法の指示は疎かになりがち
アパレル製品を製造するための指示はしっかりできていても、納品の仕方や梱包方法にについては指示が疎かになりがちです。洋服のデザインは無限にありますし、生地の厚み・ベルトとのセットやアンサンブルなどによってもどのように納品したらいいか、決まった答えがあまりないからです。ですがせっかく良い服が出来上がっても、納品方法によっては、見栄えが悪くなったり店舗に並べるときに手間が増えたり、ゴミが増える可能性もあります。
検品作業・納品方法は改善されにくい
納品・梱包指示は疎かにされがちと先の項で書きましたが、疎かにされていると同時に作業の見直しがされずに効率化されていっていない傾向があります。アパレル担当者にも軽視されていて、「今までと同じようにして下さい」と一蹴されてしまうことも多いです。
本来は業務の中には相手先の指定である作業の中にも、なぜこの作業が必要なのか?ということを考えるのは重要です。目的に合っていない作業や、必要のない作業をすることは、即ちコストアップに繋がっているからです。作業には必ず【何を目的としているのか】があるはずで、説明がつかない・目的のはっきりしない作業はどんどんカットできるはずです。そして目的を理解すれば、もっと効率のいい作業方法があるかもしれません。
検針作業 | 服に混入する可能性のある針などの危険異物を発見するため |
第三者検品 | 工場や海外検品で見逃している可能性のある不良品発見のため |
ハンガー掛け | 海外からハンガー発送料金を抑えて、国内でチェック兼ハンガーアップするため |
この作業は何のためにしてるのですか?
うーん、今までずっとやってたから・・・
まあ、お客さんから変えてって言ってこないしね
時々、このように何のためにその作業をしているのか?説明がつかない業務があることがあります。担当者が変わって、最初に意図していたことが分からなくなってしまって引き継がれていることもあります。
しかし、説明ができないなら本当に必要な作業なのでしょうか?思考停止してしまっては改善や効率化に繋がりません。これまでやってきた作業をすればいいというのは「楽」であることは間違いありません。ただし人件費が年々上がっていますので、同じ作業を継続すれば効率化しない限りは必ずコストアップしていくはずなのです。
本音1(お客さんに確認すんの面倒なんだよな・・・)
本音2(こういう細かいことを聞くと、うざがられるし・・・)
【確認が面倒くさい】これが一番の本音。相手先によってはただ「今まで通りしてください。」っと返答されることも多い。それでも今後の社会の方向性や待ち構えている人手不足や高齢化などを考えると、しっかりと交渉してでも、常に仕事は改善と効率化を図っていかなければなりません。この部分に関しては仕事を発注する側と請け負う双方のメリットとして、話を聞く心構えを持っていてほしいものですね。
仕事を仕分けして、不要な業務をカットすることは仕事の依頼者と受注者の双方にメリットがある
アパレル物流倉庫から見えた不要な作業事例
ここでは実際にあった無駄な業務に関して、ほんの些細なことなのですが実例を上げて解説していきます。「細かいなー!」とか「しょーもないなー!」っと思われるようなことです。実際に本当に細かいことです。
そして非常に無駄なのですが、意外とこういった事例がずっと放置されていることが多いのがアパレル業界です。現在アパレル製品の海外生産比率は約97.5%にまで増加しています。アパレル物流倉庫会社も、もちろん海外で生産された製品を多く取り扱っています。
海外製品の品質レベルは上がっているものの、まだまだピンからキリまであります。その中で粗悪な製品が流通しないように、日本のアパレル物流倉庫会社は様々な条件で仕事を請け負っています。
ハンガーコンテナ | ハンガーに掛けられた状態で専用コンテナでSHIP まとまった数量が必要 |
平ケース 飛行機便 | 何かトラブルや納期遅れの商品やサンプルなど 高額になる |
混載コンテナ | 数量がまとまらなくても他の荷物と一緒にコンテナで送られてくる ハンガー不可 |
意図不明の作業があったアイテム事例
この事例ではワンピースドレスとチュチュがセットになる製品。専用コンテナを確保するほどの数量ではなかったため、平ケースに二つ折りにした状態で入荷しました。そしてワンピースとチュチュを、それぞれ別のハンガーに掛けます。さらにワンピースとチュチュの2つを1セットにして、相手先の倉庫に出荷するという作業がありました。
依頼製品の作業内容
- 抜き取り検品
- 2回検針
- ワンピースとチュチュをそれぞれハンガーアップ
- ワンピースとチュチュをセットにしてハンガーをロックスで留める
ワンピースの形はいたってシンプルです。光沢のある上品なポリエステル素材で、色合いも春らしい感じのワンピースドレスです。ワンピース単体で使用することもでき、ワンピースとチュチュの組み合わせでの使用に加えて、チュチュを単独でも使用することができる3WAY商品でした。
意図が分からない作業とは
これが完成形として、先方の倉庫に納品されることになっています。第一の作業としてワンピースを通常のトップス用(ブラウス用)ハンガーに掛けます。そしてチュチュは別のスカート用ハンガーに挟みます。つまり、それぞれ別のハンガーに掛けています。
次はワンピースとチュチュをセットしていく作業になります。ロックス(半透明の留めつけタグ)を片側のハンガーに取り付けて、もう一方のハンガーとは別のロックスを使ってチェーン状につなげて一組にして一セットにして完成となります。
写真で確認できるように長さは十分。この方法で一体、何か問題があるのかと疑問に思ってしまうのは私だけではないのではないでしょうか。これでは作業が一つ増えますし、大したコストではなくともロックスも倍必要になってしまいます。
納品先でどう販売されるかは確認できませんでしたが、このまま販売することはありえません。いずれロックスはカットして処分することになります。そうするとカットも二回でゴミも増えます。考えてみてもデメリットは思いついても、特にメリットは思いつきませんでした。
なぜ、ロックスを二本使うのですか?
1本でまとめたらダメなのですか?
毎年定番のアイテムで、ずっとこのやり方で納品してるからね
・・・
よくあることなのですが、これは質問の答えにもなっていないです。【理由はずっと同じやり方で納品しているから。】アパレルの現場では、小学生でも疑問を持ってしまいそうな無駄な作業が何の疑問もなく非効率的に行われていることが多々あります。
コストを抑えたい、効率よくしたいと考えて、今までよりも正確に短い時間で仕事をしようと考えるなら作業に疑問を持つことは重要です。その作業が必要であるという理由が説明できない作業など、本来は必要のない作業をしていることになるでしょう。
検針作業 | 服に混入する可能性のある針などの異物を発見するため |
第三者検品 | 工場や海外検品で見逃している可能性のある不良品発見のため |
ハンガー掛け | 海外ハンガー発送料金を抑えて出荷 国内でチェック兼ハンガーアップするため |
*このように作業することには、全て明確な理由があるはずです。
確認の手間を惜しんでは、無駄な仕事をなくすことはできない
現場作業に限らずアパレル生産の仕事では、同じような回答を受ける場面が多くありました。今までと同じことをしておけば大きな問題は起こらない可能性が高いですし、受注元に作業に関して確認する必要もないとは思います。場合によっては、問い合わせしても「今までと同じようにしてください」と素っ気なく返答される可能性が大いにあります。些細なことかもしれないので、確認が面倒だから「同じようにやっといてよー」って気持ちも理解できます。
ですが、先に述べたように最低賃金は上がり続けてますので、同じ作業を同じ時間かけてしまえばコストは上がる一方のはずです。企業努力として、工夫して時間と手間を抑えたいところでしょう。こういった部分をないがしろにして、状況が良くならないのもアパレル業界の問題の一旦です。ですが、これからは従来の仕事に疑問を持って、もっと良い方法を常に考えて提案できる人材こそ求められています。アパレル業界で仕事をしたい!アパレル業界で転職したいと考えている方は、このように積極的に疑問と改善を提案できる意思を持つようにしてください。
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