アパレル物流現場の仕事で無駄を省く【仕事の棚卸】

アパレルの仕事現場に限らないと思いますが、【この作業って何の意味があるのだろう?】【これってむしろ後で作業する人に余計な手間がかかってるのでは?】【もっと効率よく作業したら、早く仕事が終われるのに】なんて考えながら仕事をすることがありませんか?ここからは、この作業が本当に必要なのか?ということを考え、アパレル物流作業で経験した【やらなければならない作業】【やめるべき作業】【もっと改善すればいい作業】を仕分けをする方法から、これから求められる人材について解説します。
目次
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アパレル物流倉庫で必要な作業なのか?不必要な作業なのかを考える
アパレル物流倉庫業とは
アパレルの物流関係の仕事にも様々なポジションがあります。アパレル企業がお客様や各店舗に発送するための拠点や、ZOZOTOWNのようにECファッションモールとして、一括で多くのブランドの商品を管理している物流拠点。他にも、OEMメーカーがアパレル企業の倉庫に発送するまでの、検品や作業を行う物流倉庫など多数あります。そういった事業者は、海外で生産されたアイテムを検品・検針したり、たたんだ状態で海外から送られてきた商品をハンガーに掛ける作業、また相手先が引き取るまでの保管などの役割も担っています。
アパレル物流倉庫の役割
- 第三者検品としての役割
- 工場からのアイテムが検針ができているかの二重チェック
- 海外生産の商品を指定の納品形態(ハンガー掛けなど)にする
- 相手先納期までの保管
必要な作業と、不要な作業の仕分け
業務の中には相手先の指定である作業の中にも、なぜこの作業が必要なのか?理解できない作業が存在することがあります。当然その分の作業代金を含めて売上にはなっているはずですが、効率化すれば時間もお金も本来は節約できるかもしれません。仕事には必ず意味が【やる意味】があるはずで、説明がつかない意味のない作業はどんどんカットするようにしましょう。
検針作業 | 服に混入する可能性のある針などの異物を発見するため |
第三者検品 | 工場や海外検品で見逃している可能性のある不良品発見のため |
ハンガー掛け | 海外ハンガー発送料金を抑えて、国内でチェック兼ハンガーアップするため |

まあ、相手さんもからも変えてって言ってこないしね

時々、このように何のためにその作業をしているのか?説明がつかない業務があることがあります。説明ができないなら辞めてしまってもいいのだと思いますが、思考停止してしまっては改善や効率化に繋がりません。考える必要がないため、「楽」であることは間違いありません。以前やったことを、ただただ行えばいいのですから。
ポイント
しかし、最低賃金は上昇することで人件費はアップします。考えることを止めて、何の工夫もなく非効率な作業を続けてしまえば、コストアップで経営を圧迫していくことは目に見えています。そして考えないということは、確実に今話題になっているAI等に仕事を奪われるということに他なりません。


確認が面倒くさいっていう気持ちも分かります。そして、作業の効率化や改善を取引先に確認や提案をしても、相手によっては「今まで通りしてください。」って一蹴されてしまうこともあります。それでも今後の社会の方向性や、待ち構えている人手不足や高齢化などを考えると、しっかりと交渉してでも、常に仕事は改善と効率化を図っていかなければならないのです。この部分に関しては仕事を発注する側も双方のメリットとして、話を聞く心構えを持っていてほしいものですね。
仕事を棚卸して、不要な業務をカットすることは仕事の依頼者と受注者の双方にメリットがある
ポイント
- 業務を効率化して、作業時間・無駄なゴミなどをカットして費用削減
- 余裕時間が生まれるので、別の仕事を請け負うことが出来る
- 従業員の負担減
アパレル物流倉庫から見えた不要な作業事例

ここでは実際にあった無駄な業務に関して、ほんの些細なことなのですが実例を上げて解説していきます。「細かいなー!」とか「しょーもないなー!」っと思われるようなことです。実際に本当に細かいことです。そして非常に無駄なのですが、意外とこういった事例がずっと放置されていることが多いのがアパレル業界です。
現在アパレル製品の海外生産比率は約97.5%にまで増加しています。アパレル物流倉庫会社も、もちろん海外で生産された製品を多く取り扱っています。海外から送られる製品に関しても、その都度様々な条件で送られてきます。
ハンガーコンテナ | ハンガーに掛けられた状態で専用コンテナでSHIP まとまった数量が必要 |
平ケース 飛行機便 | 何かトラブルや納期遅れの商品やサンプルなど 高額になる |
混載コンテナ | 数量がまとまらなくても他の荷物と一緒にコンテナで送られてくる ハンガー不可 |
仕事の棚卸をするべきアイテム
この事例ではワンピースドレスとチュチュがセットになる製品。専用コンテナを確保するほどの数量ではなかったため、平ケースに二つ折りにした状態で入荷しました。そしてワンピースとチュチュを、それぞれ別のハンガーに掛けます。さらにワンピースとチュチュの2つを1セットにして、相手先の倉庫に出荷するという作業がありました。
このアイテムの作業内容
- 抜き取り検品
- 検針
- ワンピースとチュチュをそれぞれハンガーアップ
- ワンピースとチュチュをセットにしてハンガーをロックスで留める


ワンピースの形はいたってシンプルです。光沢のある上品なポリエステル素材で、色合いも春らしい感じのワンピースドレスです。ワンピース単体で使用することもでき、ワンピースとチュチュの組み合わせでの使用に加えて、チュチュを単独でも使用することができる3WAY商品でした。
メモ
最近はチュールのような透け感のある素材も、外に出してスタイリングすることも多くなり、スタイリングのアクセントとしても、とても可愛らしいです。アパレルの生産管理業務が長かった身としては、素材が繊細なので、どこかに引っ掛けたりして、すぐに破れてしまいそうで、ヒヤヒヤしてしまいそうです。
必要性が説明できない作業とは

これが完成形として、先方の倉庫に納品されることになっています。第一の作業としてワンピースを通常のトップス用(ブラウス用)ハンガーに掛けます。そしてチュチュは別のスカート用ハンガーに挟みます。つまり、それぞれ別のハンガーに掛けています。
次はワンピースとチュチュをセットしていく作業になります。ロックス(半透明の留めつけタグ)を片側のハンガーに取り付けて、もう一方のハンガーとは別のロックスを使ってチェーン状につなげて一組にして一セットにして完成となります。
ポイント
ここで疑問を感じないでしょうか?なぜ二本のロックスで留めないといけないのでしょう?なぜ一本のロックスでハンガーをまとめてはいけないのでしょう?長さが足りないのでしょうか?そう思って一本のロックスで付けてみました。

写真で確認できるように長さは十分。この方法で一体、何か問題があるのかと疑問に思ってしまうのは私だけではないのではないでしょうか。これでは作業が一つ増えますし、大したコストではなくともロックスも倍必要になってしまいます。
- ロックスを付ける作業時間は、単純に2倍になる。
- ロックスの必要数も2倍になる
- 後に廃棄するロックスが2倍になる。
- 効率が悪く、コストが余計に掛かっている。
問題点
納品先でどう販売されるかは確認できませんでしたが、まさかこのまま販売することはありえません。いずれロックスはカットして処分することになります。そうするとカットも二回でゴミも増えます。考えてみてもデメリットは思いついても、いまいちメリットは思いつきませんでした。
1本でまとめたらダメなのですか?



よくあることなのですが、これは質問の答えにもなっていないです。【理由はずっと同じやり方で納品しているから。】アパレルの現場では、小学生でも疑問を持ってしまいそうな無駄な作業が何の疑問もなく非効率的に行われていることが多々あります。仕事を効率よくしたいと考えたり、今までよりも正確に短い時間で仕事をしようと考えるなら作業に疑問を持つことは重要です。その作業が必要であるという理由が説明できない作業など、本来は必要のない作業をしていることになるでしょう。
検針作業 | 服に混入する可能性のある針などの異物を発見するため |
第三者検品 | 工場や海外検品で見逃している可能性のある不良品発見のため |
ハンガー掛け | 海外ハンガー発送料金を抑えて出荷 国内でチェック兼ハンガーアップするため |
*このように作業することには、全て明確な理由があるはずです。
確認の手間を惜しんでは、無駄な仕事をなくすことはできない

現場作業に限らずアパレル生産の仕事では、同じような回答を受ける場面が多くありました。今までと同じことをしておけば大きな問題は起こらない可能性が高いですし、受注元に作業に関して確認する必要もないとは思います。場合によっては、問い合わせしても「今までと同じようにしてください」と素っ気なく返答される可能性が大いにあります。些細なことかもしれないので、確認が面倒だから「同じようにやっといてよー」って気持ちも理解できます。
ですが、先に述べたように最低賃金は上がり続けてますので、同じ作業を同じ時間かけてしまえばコストは上がる一方のはずです。企業努力として、工夫して時間と手間を抑えたいところでしょう。こういった部分をないがしろにして、状況が良くならないのもアパレル業界の問題の一旦です。ですが、これからは従来の仕事に疑問を持って、もっと良い方法を常に考えて提案できる人材こそ求められています。アパレル業界で仕事をしたい!アパレル業界で転職したいと考えている方は、このように積極的に疑問と改善を提案できる意思を持つようにしてください。
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ポイント
- 仕事を依頼する側も、作業者の工夫を柔軟に受け入れてある程度、任せること。
- 作業側からの提案にもきっちり話を聞いて対応すること。でなければコストアップも必要。
- 仕事依頼の際は裁量に任せて良い作業、きっちりと打ち合わせをすること。