新しくアパレルブランドを作る。ショップにオリジナル商品も置きたい。
アパレル製品を作りたいと考えた時、どんな工場を探したらいいのでしょうか。インターネットである程度調べることもできますし、sitateru-シタテル-や、 nutte(縫って)のようなプラットフォームもできていますが、それでも服を作ることのシステム化というのは難しく、導入することはできても、続けて生産を行っていく工場は少ないように聞いています。インスタグラマーのブランドも増え、「アパレル企業ではなくても服が作れます。」と謳っているプラットフォームを利用するのもアリです。しかし生産をお任せする場合には、依頼する側がどんな基準で工場と打ち合わせすべきかを知っておくことが、最終的に出来上がる製品の品質を上げて、トラブルを防ぐことに繋がります。ここではまずアパレル製品を作りたいと考えた場合、服の専門知識がない方がどのように工場を選定して打ち合わせを進めていくべきかを、アパレル生産管理と工場責任者の立場にいた経験から記事にしていきたいと思います。
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アパレル製品を作るには、具体的なイメージと言語化が重要
アパレル企業のデザイナーさんにも多いのですが、仕様書や指示に曖昧な表現を使うことで、デザイン画や仕様書と工場の間に行き違いが起こってしまうトラブルが非常に多いです。仕様書のミスや間違いを修正する際は、口頭だけで指示すると、言った、言わないというトラブルや解釈の違いが起こる原因になりますので、指示の修正は自分にも相手にも分かり易いように、必ず書面で残るようにしましょう。
仕様書PDF⇒200216_1
専門的な用語をご存じでない方も多いと思います。そのような場合は、縫い方を写真で指示したり、丁寧に図解することで専門用語が分からなくても工場に正確に伝えることができます。
ただし、専門用語に関しても、ファッションで使用されている言葉と、縫製工場・製造現場の言葉には違いがあります。ファッション用語のように流行によって変わってくる言葉は、工場と生産に関して話う場合には不向きです。オシャレな言葉よりも、誰も勘違いしないような分かりやすい言葉を使うように心がけましょう。
頼りになる縫製工場を見極めるには
アパレルの生産管理者だったとしても、工場業務についてはほとんど知らないという方が多いです。何度も仕事を通して縫製工場と信頼関係を築いていけるような継続した仕事をお願いできている場合は良いですが、初めて工場にお願いしたいと考えた時はどのように縫製工場を見極めたらいいのでしょうか。
考えられ得る製品トラブルを検討して、トラブル防止のための措置をどのように対処しているのかという視点で見ることが、最も品質管理としては賢明な考え方でしょう。オリジナリティを持ってチェックするには、どうすればいいのか?
縫製工場のこれまでのトラブル経験から、逆に考える
縫製工場さんがこれまで経験したトラブルというのは、ある意味で経験の財産でもあります。製品トラブルを想定して、どのようにそれを防止するような工夫をしているかで、工場の経験値を計ることができます。
トラブル事例
- 生地不良 ・・・キズ・染めムラ・飛び込み・汚れ
- 縫製不良 ・・・糸切れ・地糸切れ・糸目飛び・縫い外れ
- 仕様ミス ・・・書類確認ミス・縫製ミス
- 資材不足 ・・・数量ミス・チェック不足
- 資材間違い ・・・品番ミス・送りミス・チェック不足
- サイズ不良 ・・・縫製時の付け間違い・パターンミス・生地の縮率の問題
- パーツでの色違い ・・・ロット違いの混入・生地の中希
- 芯の接着不良 ・・・圧着時間ミス・圧力不足
- 針・金属の異物混入 ・・・検針機チェックミス
これまで起こった様々なトラブル事例から、同じミスを減らすためにどういう対処を行っているのか?ということをチェック項目としておき、製品の検品を行っていれば工場として優秀であり、今後も一緒に良い仕事をするために成長していけるのではないでしょうか。とはいえ、トラブルの可能性は多岐に渡ります。アパレル会社・生地屋・メーカーの相互協力が必要な事項が多いことがお分かりいただけますでしょうか。起こりうるトラブルの可能性を読んで、工場と取り組むことがアパレル生産管理の役割だと言えます。アパレル製品を作るなら、上に取り上げた項目より遥かに多くの事例を想定しながら生産しなければならないです。
*アパレルの製品のトラブル対処の精度を圧倒的に上げる方法を解説しています。 続きを見る
【アパレル生産管理】検品精度を上げる方法(カラーバス効果とRAS)
大企業が用いている工場管理体制のチェックはあてにならない
大きなアパレル会社や商社には認定工場制があり、多種多様なチェック項目をクリアしないと製品が作れないということが多々あります。そのチェック項目というものを何の疑問もなく使用することには、疑問を感じてしまうことが多々あります。
大企業の工場のチェックリストをそのまま使用するのは考えもの
例
- 経営者の品質向上への取り組みが言葉だけではないか?
- モノを大切に扱おうという意識が全従業員に感じられるか?
一見して何の疑問もなくこの項目をチェックする方も沢山おられるでしょう。ですが、こんな項目を一社員がどう判断するのでしょう?1日程度で全従業員の意識をどう判断しているのでしょう?場合によっては相手経営者の、今後方針を判断する項目があることも目にしました。場合によっては、チェックしている側の社員の資質も問われます。経験では、こちらがサンプルを丁寧にたたんで送っても、グチャグチャなたたみ方で送り返してこられることも多く、服を大事に扱っているとは到底思えないケースも多々ありました。工場との信頼関係を作るには、チェックする側とも対等であることが重要です。チェックする側も、当然ながらチェックされていることを考えなければならないでしょう。
まとめ
アパレル企業 ー メーカー ー 工場
この関係は長らく、上下関係に陥ってきました。そのため、相互協力的な関係を作ることが出来ずに足を引っ張り合っているように感じます。
業界全体の底上げを考えるには、まずお互いの協力関係を確固たるものとすることが大切です。お互いに甘え合っても上手くはいかないでしょう。役割を理解し、相互のフォローを忘れないことで信頼関係をつくれば、より良いサプライチェーンを構築できることでしょう。
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