アパレル生産にAIは参入しにくい理由の考察【アパレル検査・検品】
AI導入や2050年シンギュラリティとか、話題に上る中でアパレルに関しては中々IT導入すら難しい会社が多いのではないでしょうか。ECサイトに関しては、ある程度定着してきていますが、企画から生産に至るまで、もっとIT化できそうな部分もあれば、工場現場に近づくほどにIT化にハードルが高いように思います。良くも悪くも現状のアパレル現場には白黒をはっきりさせない、グレーゾーンは必要に思います。
IT技術の導入によって「工場」と「アパレルもしくは、ショップやオリジナルを生産したい個人」とを繋ぐプラットフォームもできてきてはいます。ですが、もの作りのノウハウを知らない人の介入で、却って手間が増え、価格にも異常が出てきているように感じます。知らないからこその新しい発想は必要だと思います。それはマーケティングや販売チャネルの話。もの作りを知らないが故の悪い部分が、ものを作る現場の足を引っ張ってしまう場面は多く見てきました。
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アパレル製品を生産する上での品質の曖昧さ・ニュアンス・許容範囲の部分の理解が不足
原料に関して
- 天然繊維の原材料・・・品種・産地・天候・個体差 不純物混入
- 合成繊維・化学繊維・・・差は少ない
天然の繊維に関しては、特に天候・気候には影響を受けやすく、それによって個体差が大きくなることで結果として、糸にした時に強弱が生まれたり、どうしても異物が混入してしまうこともある。分かり易いところで言えば、麻の生地を見ていただければ明白だと思います。様々な部分に糸の節ができてしまいますが、当然ランダムに現れるので、本生産でその部分を取り除いて裁断することは不可能になります。
生地の特徴として理解してもらうことは、企画者にも消費者にも必要になってくるでしょう。上の写真は製品の一部で、もちろんA品として生地もメーカーが仕入れて、A品の製品として納品され店頭に並んだものです。消費者によってはこれでは買わない、と判断する可能性もありますよね。
生地に関して
- 織生地 ・・・ 機械の差 糸の出来に関わる 糸の接ぎ 仕上げの差
- 編物生地 ・・・ 糸調子の差 仕上げの差 糸の接ぎ 反物として巻く際のテンションの差
- 染め ・・・ 天候 ロット差 異物混入 染料の原材料差 水質の状況
裁断 ・・・ 生地のテンション戻り 生地の重ねによる差
縫製 ・・・ミシンの種類 機械の差 機械の経年劣化 縫い糸の差 技術差
ミシンの糸調子 ミシンの走り始めー安定ー止まり 生地の質(摩擦・密度)
二次加工 ・・・刺繍ー糸ロット 機械差 機械の経年劣化 機械の動き始めー途中ー止まり 生地の質(摩擦・密度)
プリント プリント原料の差 定着剤や熱乾燥による生地の影響 プリント圧着時の熱の影響
ウォッシュ加工 ・・・サンプルと量産の条件差 気候 水質 乾燥の際の天候 乾燥方法
ダメージ加工 ・・・サンプルと量産の条件差 技術差 個人差
検査 ・・・個人差・文化の差・判断基準差 環境(明るさ等)
製品 ・・・ブランド差 流通企業の基準差 試着の有無・回数 店頭および倉庫の保管状況差
それぞれの部分で検品はありますが、
基準とは非常に難しいものです。大部分を人の目視と、培ってきた文化(お国柄)や想像力(自分だったら許容できるかできないのか)にゆだねています。理想としては一人の判断基準で統一するのが良いのでしょうが、問題となる事柄も個々で違うので、一人の基準でさえ明確にはできないでしょう。AIで良し悪しを判断した場合、まず生地の段階でクリアできなくなるのではないでしょうか。
上記の通り、あらゆる段階でアパレル製品の品質の揺らぎの原因となる要素があります。仮に大量にAIがB品と判断した製品が出た場合は、また人の目で見直して問題があるかないか、修理できるかできないかを判断しなければならないでしょう。だとするとやはり一定は想像力で基準を決められる人間の許容値が必要なのだと思います。
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