【図解付き】アパレル生産が細かく分業化していく理由とは
アパレル生産は大規模な工場での生産から小規模の工場へと、さらに裁断・縫製・仕上げなどもそれぞれが別の工場で請け負うといった分業の形態が増えています。実はアパレル生産は元々、裁断屋・縫製屋・釦ホール屋・仕上げ屋、他にも刺繍屋やプリント屋や染色屋といった具合に専門工場に分かれています。近年の小ロット・多品種生産傾向からさらにこの分業体制がが進んでいます。
この記事ではアパレルの生産が専門分業化してきた理由について図解付きで詳しく解説していきます。
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アパレル生産の流れについて
アパレル生産をしている縫製工場の仕事には大きく、【生地の裁断】【縫製】【仕上げ・梱包】という大きく三つの業務に分かれています。縫製工場としては製品を完成させて出荷した枚数×加工賃が売上になりますので、ミシン設備と縫製に携わる人数を軸に1日に生産できる枚数もおおよそ決まってきます。
そこから一日に生産可能な枚数に合わせて、必要着数を裁断する人員と仕上げ・梱包に必要な人員を確保ができれいれば工場はスムーズに流れることになります。上の図のように、1日200着縫製ができる工場であれば、毎日200着分の裁断を供給して、毎日200着分の仕上げ・梱包ができれば最も生産が安定できるということです。
裁断数が大きく変わるケースとは
実際には先のような理想的な形で生産が安定してできることはめったにありません。上の図のように生産できる条件としては、同じ製品を何万枚・何十万枚と大量に縫製するような場合のみになります。
ボーダーやチェック柄合わせ
生地の場合、ボーダーやチェックは紙に書いたように真っすぐではないため、大きく裁断(荒裁ち)したあとにレーザーで合わせたり針に一枚一枚刺していって柄を合わせるという作業をすることがあります。無地の裁断に比べると約3倍から5倍時間がかかることがあります。
裁断ができないと縫製人員のための仕事を準備できなくなるため、【裁断屋】という裁断専門の工場に依頼するというケースが出てきます。
小ロットが多い場合
最近多い、小ロット生産も裁断に時間がかかる原因の一つになります。裁断工程を進行するには生地の規格巾に合わせて型紙が入るようにデータを作るマーキング作業や、受注数の色・サイズに合わせて計算するなどの前作業があります。単純に考えると、1型1000枚の生産の場合はその前作業が1回で終わりますが、10型100枚の生産の場合はその作業を10回することになります。
さらに小ロットの場合は本来2人取り30枚重ねて裁断できるところを1人取り5枚から10枚の生地を重ねて裁断するということになり、どうしても効率が悪くなってしまうので、1日の裁断枚数が落ちるということに繋がるため、外部委託するケースが出てきます。
刺繍・プリントなどの二次加工がある場合
アパレルアイテムは縫製工場だけで完結しないことが多々あります。刺繍やプリントは設備や加工方法が全く違うので、それぞれ専門の工場に裁断したパーツを送って加工するという流れが多いです。そのためパーツを送り出して、加工が戻ってくるまで縫製ラインに乗せることができません。これも場合によって異なりますが、シンプルに考えると完成品を供給できなければ仕上げ人員の作業がなくなり、工場としても売上を上げることができないからです。
そのため裁断には二次加工の有無なども考えて、裁断すればすぐに縫製に取り掛かれるアイテムと二次加工があるアイテムのバランスを考えて裁断する順番を決める工夫が必要となってきます。
デザインによって生産数が大きく変わるケース
デザインによって縫製枚数が追い付かないケースもあります。特殊なミシンを使用する場合、仮にそのミシンが工場に1台しかないといったケースは、その工程がボトルネックとなり縫製完了数が減るということがあります。また極端にボタンの数が多いといった場合にも、ボタンホールとボタン付けをこなすことができず、外部の【ボタンホール屋】と呼ばれる専門工場もあります。
またスポーツアイテムによく使用されるドットボタンやアイレットも専門工場があります。
仕上げの手間によって生産数が大きく変わるケース
仕上げによって生産数が変わるケースとしては、製品染めのアイテムやワンウォッシュをかけるアイテムなどがあります。通常の仕上げアイロンより倍以上時間がかかってしまうこともあります。そのため縫製工場内でこなせない場合は、【仕上げ屋】というアイロンからハンガー掛けや、たたみ仕上げから梱包、出荷まで行う専門工場に依頼することがあるのです。
またアイテムによっては紳士のシャツのように襟キーパーを入れたり、アンサンブルのようにセットにするなどのイレギュラーで仕上げに時間のかかるものも、専門の【仕上げ屋】に依頼することもあります。
アパレルの分業体制が進む流れ
このようにアパレル生産は縫製工場単体では生産の流れが安定しない要因がいくつもあるため、【裁断屋】【ボタンホール屋】【仕上げ屋】という具合に各業務を補ってもらうような専門工場が増えていくようになりました。そのうえ縫製工場の中には裁断は全て協力関係のある裁断工場に依頼するという、裁断部署のない工場もあります。
現在日本では小ロット他品番の流れがどんどん進んでいる傾向があるため、このように分業体制の方が柔軟に色々なアイテムを生産できるという流れが強くなっていくかもしれません。但しスケジュールを細かくしっかりと管理することに関してはハードルが上がっていくでしょう。
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