
縫製工場の生産スケジュールが重要な理由
アパレル生産の未経験者や製造の現場を見ていない方には、なぜ縫製工場の材料スケジュールが重要なのか?いまいちピンとこない方が多いようです。
メーカーで仕事をしている人でも、「資材が遅れたらその日数分だけスケジュールを遅らせれば良いのではないか?」「資材が揃っていなくても、できる作業から進めたら良いのではないか?」というふうに簡単に考えていることが多いです。
この記事ではアパレルの生産を管理する上で、生地・資材のスケジュール管理がどのように重要で、なぜ工場にとって大きな問題になってしまうのかということや、一部の資材が遅れることによって、どのように作業時間ロスになるということなどを解説していきます。
こんな人におすすめ
- 縫製工場とのスケジュール調整が上手くいかない
- 縫製現場の状況がよく分からない
- 生産スケジュールを上手く調整した
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アパレル生産管理にとっての資材スケジュール管理

アパレル生産は資材が全て揃ってスタートするのが基本です。特に最近の小ロット生産では現場投入してから完了までの期間が短いので、できる箇所だけ作業を進めるといったことが非常に非効率です。服が完成しないと、仕上げ・アイロンで作業する人の業務がなくなってしまうので、資材が揃って完成させられる品番があるならば、それを優先して進める方が遥かに工場としては仕事がしやすく、売上に繋がります。
裁断>縫製>仕上げという具合に、製品が順序良く流れていくように進めることが縫製工場現場では最も大切なのです。
アパレル生産の際に縫製工場でよく起こる材料や指示変更の問題

材料・資材のトラブル

アパレル生産でも最も多いのが資材・材料のトラブルです。主材料・別生地・裏地・芯地・パターン・ファスナー・ボタン・ネーム・下げ札・梱包資材など、多くの材料を組み合わせて作るアパレル製品は発注先・生産先も様々なので、これらを全て同じスケジュールで縫製工場に投入するのは非常に難しいです。
一部の資材が入荷しても、何かが不足して進行できないことが多々あります。また資材の納期がどうしても合わない場合や、資材の変更・発注のミスや不足もよく起こっているトラブルです。
デザイン・仕様変更などのトラブル

アパレル縫製工場でいざ生産に取り掛かろうという状況でデザインの変更や、それに伴う資材の追加や変更ということも起こります。最近のコロナが流行し始めた頃には、数量変更や生産中止っという事態まで起こったり、急遽海外生産から日本工場への振り替えも起こっていました。
指示する側としては大した変更ではない、決定は仕方がないことだと思ってしまうかもしれませんが、その調整は工場として大きな負担が掛かっていることも事実です。
なぜスケジュール調整・変更が大きな負担なのか?

1・売り上げ・締め日の関係

縫製工場の月々の売り上げは、1着あたりの工賃と何着完成させて出荷したかによって決まります。取引先によって、締め日は様々ですが月末締めの場合は、1日から30日までに、より多くのアイテムを出荷することが目標となります。パートを含む30人弱の工場で約850万、20人くらいの工場でも最低約550万の月々の製造原価がかかっていました。
そのうちおよそ8割くらいが人件費であり、いわゆる給料として月々に従業員に多くの現金が支払われています。つまり月々の売上がそのままキャッシュフローに大きく影響します。資材が揃わなくて、完成させられない・出荷できる当てのない製品に取り掛かるよりも、売り上げにつながる製品を優先的に進行するというのは、ごく当たり前のことなのです。
場合によっては途中までの半製品の状態で、先払いするという手段で売り上げを補填する場合があります。しかし、これは余分にかかってしまったコストが見えにくくなります。先払いが常態化すると、あるタイミングで急にキャッシュが足りないっという事態になりかねないので注意が必要です。
2・品番入れ替えによるロスが大きい

縫製工場のスケジュールは、裁断⇒縫製⇒仕上げ・検品というように流れていくのが理想です。「裁断だけ進めてください」「縫えるとこだけ縫ってください」「変更があるの縫製止めてください」「仕上げは少し待ってください」ということは、生産依頼している立場からすれば少しでも進行しておけば納期のために安心というのもよく分かります。しかし、それをすることでどんなことが縫製工場で何が起こっているかも考えなければならないと思います。実際は上の表ほどシンプルではありませんが、裁断・縫製・仕上げの各パートがバランス良く進めることで工場は上手く機能して仕事をしています。



| 変更指示 | 結果 |
| 裁断だけ進めてください | 縫製の次の仕事が空く |
| 縫えるとこだけ縫ってください | 仕上げの次の仕事が空く |
| 変更があるので縫製を止めてください | 縫製の仕事が空く 仕上げの次の仕事が空く |
| 仕上げは少し待ってください | 縫製から次の品番が上がるまで仕上げの仕事が空く |
3・人員配置入れ替えによるロス

仕事が空きそうなら、各部署で人をやりくりして仕事を回せばいいんじゃないの?っと思われるかもしれません。もちろんできる範囲の対応は縫製工場でもしています。しかし、少なくとも普段やっていない業務・難しいスキルが必要な仕事ということでスピードは期待できず、ミスが起こる可能性もあるので、通常の流れで仕事をするより遥かにロスがあります。そして工場設備により、そもそもの1日における生産スピードにも限界があります。
仮に仕上げ作業が1日空いてしまい、縫製パートで作業したとします。その1日における完成枚数はゼロ。しかし、2日後からの仕上げパートから上がる完成枚数は元々のアイロン台数や人員のままの数量となり、2時間残業でカバーしたとしても追いつくには1日8時間業務として、単純計算で4日の残業が必要になることになります。
| 延反機・裁断台 | 台数やスペースに制限 |
| ボタンホール・ボタン付け・閂止めなどの特殊ミシン | 台数×人員で1日の最大数 |
| アイロン・アイロン台 | 台数×人員で最大数 |
縫製工場の納期が簡単に短縮できない理由について・・・コチラも参考にしてください
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生産管理が縫製工場と上手くスケジュール調整するには

第一の前提として、生産スタートする段階で資材を全て投入する。そのために各資材のスケジュールをしっかりと詰めておかなければなりません。ですが、急なトラブルがアパレル生産につきものだということも頭に入れておかなければならないのは間違いありません。
急な変更やストップの指示を受けた場合は、なぜそれが必要なのか?理由が分からなければ縫製工場も納得がいきません。また、いつまでに再指示の連絡が来るのかも把握できなければ、工場としては一旦ラインから除外してスケジュールを考える以外にありません。縫製工場の事情が分からないという方も多いので、状況を把握しアパレル・メーカー・縫製工場と連携をするのが生産管理の仕事となります。
生産管理する側が考えておくべきこと

縫製工場は動き続けなければ赤字を増やすことが確定しています。記事の中の図のように生産は単純ではなく、裁断品の二次加工が完了するスケジュールや縫製完了後のウォッシュ加工や染色加工もあり、製品によって様々なケースを想定しなければなりません。縫製工場でのスケジュール調整が成り立つかどうかということは、生産管理している者が現状を把握して、きっちりと連絡・連携を取るということがあってこそになります。
取引先アパレル会社さんが指定する納期というのも確かに大切です。しかし、締め日までに出荷することで発生する月々の売上が縫製工場には非常に大切だという本心があるということも頭に入れておくと、取引先さんとの連絡や交渉の仕方など、おのずと仕事への取り組み方も変わってきます。自分の生産管理の方法で、縫製工場が利益を残せるか赤字を出すかにも影響し、工場の従業員さんの仕事のやりやすさ、場合によっては賃金・賞与まで変わる可能性もあると少し頭の片隅に入れておくといいかもしれません。

